くろごまさんぽ

くろごまは躁うつと上手くお付き合いしたいのです。躁うつ病の日常ブログ。

火花読了。

久しぶりに本を読了できました。
又吉直樹の、火花。

ネタバレはしませんが、その満足感から新鮮なうちの感想を書きたくて。
これから読もうとする方は、これからの感想を読むかをお任せします。





良くも悪くも、古典を引く純文学。
読むというより、言葉を紡ぐ彼を眺め見る感じでした。
又吉という、鬱々とした陰を持つ筆者だからこそ主人公に投影する表現。
ずるいよね、筆者又吉の性格をメディアで公開されているが故、読み手の私には余計に理解が深まってしまいました。

書き出しと書き終わりには物足りなさを感じるけど、あの表現を繰り返される本編を一気に読めたというのは共感出来たから故。
心の内を表現するのが不器用な主人公を、自分ではどうなんだろう?と考えながら読み進める、不思議な感覚を覚えながら読み終えました。

ただ、大衆向けかと言われると、賛否が分かれるだろうなぁ。
偏った作品な気がするし、読み終えた本達がフリマに出品されてるのを思うと、二手に分かれる作品なのかもしれません。

でも、私は、好きな作品です。
荒削りと言った評論家がいたけど、私も同じ感想。
次回作も、彼のブレない目線で書いて欲しい。

これは蛇足かもしれないけど…鬱傾向を持ちコミュニケーション能力に悩む人は共感出来る箇所があると思いました。
協調する生き方を、明暗を行ったり来たりしながら悩む主人公の姿は、いくつかの気付きをくれるかもしれません。
躁の時より、鬱の時に読める本。
そんな気がします。